日常生活の注意点
PAHの患者さんに特に注意していただきたいことをまとめました。
ここに書かれていること以外にも、日常生活において確認したいことがあれば、主治医に相談しましょう。
入浴
熱いお湯や長風呂は心臓に負担がかかります。37~40度程度のぬるま湯で、つかる時間は10分程度にするなどして、のぼせたりしないよう注意しましょう。
食事
PAHの患者さんでは、塩分と水分を制限する必要があります。これは、塩分や水分を摂り過ぎると体に水分がたまって浮腫み(むくみ)やすくなるためです。
塩分を控えめにしたレシピを工夫したり、食品に含まれる水分を考慮して飲む量を調節するなど、塩分や水分を摂り過ぎないよう注意しましょう。
運動
運動によって心拍数が上がると肺動脈圧が上昇し、病気を悪化させることがあります。
運動を始める際には、必ず主治医に許可を得てから、散歩などの軽めの運動から取り組みましょう。決して無理をせず、めまい、動悸、胸苦しさなどを感じたらすぐに中止し、医師に相談しましょう。
仕事・学校
体調が安定していれば、就労や就学を続けることも可能です。また、一度休職や休学をしたとしても、治療によって体調が安定すれば復帰できますので、主治医に相談しましょう。
職場や学校とも相談して、環境や就労・就学時間などを調整しましょう。
旅行
旅行中に無理をしないよう、余裕のある計画を立てましょう。旅行中に必要なお薬が足りなくならないよう、準備は慎重に行いましょう。
また、気圧が低くなると心臓や肺に負担がかかるため、飛行機に乗る場合や高地へ旅行する場合は、あらかじめ主治医に相談しましょう。
感染予防
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると心臓への負担が大きくなります。
風邪やインフルエンザが流行する時期は人ごみを避け、外出するときはマスクを着用して帰ったらすぐに手洗い・うがいを行うなどして予防しましょう。
また、インフルエンザのようにワクチンで予防できる場合は、あらかじめ医師と相談して予防接種を受けておきましょう。
飲酒・喫煙
飲酒:アルコールを摂取すると、脈拍数や心拍数が上昇して不整脈のリスクが高まります。飲酒するときは体調の変化に注意して、控えめに飲むよう心がけましょう。病気の状態によっては禁酒が必要な場合もあります。
喫煙:喫煙により呼吸機能が低下すると病気が悪化します。必要であれば禁煙外来のある病院を受診するなどして、速やかに禁煙しましょう。
妊娠・出産
PAHの患者さんでは、妊娠や出産が病気を悪化させることから、避けたほうがよいと考えられています。
妊娠・出産を希望される場合は、主治医とよく相談しましょう。